2014年3月、米国のリベラルな法学者、アーウィン・チェメリンスキー・米カリフォルニア大学バークレー校(UCB)法科大学院教授が、米紙ロサンゼルス・タイムズに挑発的な寄稿文を書いた。チェメリンスキー氏は、「ギンズバーグ最高裁判事を尊敬するが、民主党の大統領が現職にいる時に後任を選ばなければならない。11月の中間選挙で民主党が上院で過半数を占めない可能性があり、2年後に大統領選で敗れる可能性もある。今夏に辞任してほしい」と書いた。

共和党が政権を獲得した場合、ギンズバーグ氏が信奉してきた価値と完全に異なる理念を持つ人が最高裁判事に選ばれて米社会を思うままにする可能性が高いため、本人の信念のためにも今退くべきということだった。当時、チェメリンスキー氏以外にもリベラル陣営ではこのような主張をする人が少なくなかった。本人が辞任を拒否すれば、大統領でも憲法が保障した最高裁判事の終身任期を変えることはできないため、勇断を下せと迫ったのだ。

ギンズバーグ氏は、女性誌「ELLE」のインタビューで、「私が退くとしても、大統領が私のような人を任命すると考えることは誤り」とし、辞任の要求を一蹴した。自分のような人はどこにもいないという自信の発露だった。ギンズバーグ氏は今月18日に他界するまで最高裁判事として在職し、終身任期を守った。しかし、自身と正反対の道を歩んできた人が後任に指名された。

オバマ政権は、2期目の初年度の2013年からギンズバーグ氏の辞任を内心望んだ。1993年に60歳で最高裁判事になったギンズバーグ氏は20年間奉職し、がんの手術を数回受けて健康の心配もあるため、若くて元気なリベラル派の最高裁判事に変えたかった。民主党の重鎮でギンズバーグ氏に近いパトリック・リーヒ上院議員を送ってこのような考えを伝えたが、ギンズバーグ氏は不動の姿勢だった。トランプ大統領の政権獲得後、最高裁判事の地形が保守優位に変わり、リベラル陣営全体が「一日でも長く生きてほしい」とギンズバーグ氏の長寿を祈ったが、オバマ政権期には欲張りという声もあった。

4度のがんの手術と数回の転倒事故にもかかわらず87歳まで終身任期を守ったギンズバーグ氏の選択は、むろん尊重されなければならない。自主辞任の論議が不敬に感じられるほど、ギンズバーグ氏が米社会と世界の女性界に途方もない足跡を残したという点も変わらない。ただ、「反トランプ」を自任し、「新しい大統領が私の後任を指名することを望む」という遺言を残したギンズバーグ氏の決定は、上院で過半数であることを利用して平均70日かかる最高裁判事の承認を約1ヵ月で終わらせようというトランプ氏に劣らず党派的で政治的という声もある。

米国は国民の期待寿命が38歳だった1776年の建国当時、司法権独立のために最高裁判事の終身制を選んだ。「知恵の9柱」と呼ばれるほど9人の最高裁判事は絶対的な尊敬を受け、共和と民主両党が政権を獲得するたびに、できるだけ多くの最高裁判事を新たに任命しようと激しい競争を繰り広げるのも、個々人の善し悪しではなく終身制という制度のためだ。

しかし、2020年現在、期待寿命は78.9歳に延び、18世紀には想像できなかった性的マイノリティ、健康保険など各種複雑な問題も続出している。何より大統領1人が3億3千万人の米国人を代表する9人を選ぶということ、米最高裁が他国とは違って最終審と憲法裁判所の機能を同時に有し、彼らの判決が途方もない波及効果を生むということを考えると、社会の変化に歩調を合わせ、終身制の変化に対する議論が必要という指摘が多い。PBS放送の最近の調査で回答者の77%が「最高裁判事の任期を制限しなければならない」と答えたのも、これと無関係ではない。ワシントンの政界では、「最高裁判事の任期を18年にしよう」「最高裁判事の数を13人に増やそう」という主張も提起されている。

民主党のカーター元大統領は4年の任期中、一人の最高裁判事も指名できなかった。トランプ氏は同じ期間にすでに3人の最高裁判事を選んだ。特定の大統領が「運」によって司法府を思うままにする可能性を阻止するためにも、今から最高裁判事の終身制について活発の議論が必要だ。

河貞敏 dew@donga.com