コロナ感染拡大と交通妨害への懸念を理由に警察は集会を不許可

裁判所は処分取り消し要請を棄却

 韓国政府を批判する保守団体主催の開天節(韓国の建国記念日)「ドライブスルー(車両搭乗型)集会」を禁じた警察の措置について、韓国の裁判所が「正当」と判断した。開天節にはいかなる形態の集会も容認しないとする政府の手を上げた形だ。

 ソウル行政裁判所行政5部(パク・ヤンジュン裁判長)は29日、「新しい韓国のための国民運動」が「10月3日の開天節に、秋美愛(チュ・ミエ)法務部(省に相当)長官の辞任を求める車両集会を禁じた警察による処分の効力を停止させてほしい」と求めた執行停止申請を棄却した。

 裁判長はこの日、決定文で「車両を通じた集会だとしても、車両デモ隊の準備や解散など、前後の一連の過程で集団感染のリスクが高まる可能性がある」「感染拡大の経路となる可能性は十分」と指摘した。その一方で「(ソウル市内の)交通に深刻な障害をもたらす懸念もある」と警告した。

 これに対して感染症の専門家は「車両搭乗型集会の場合、コロナに感染する可能性は低い」との見方を示している。車のドライバーたちが行事の前後に1カ所に集まることを警察が阻止できないとは考えられない。それにもかかわらず、政府・与党がドライブスルー集会まで最初から遮断し、裁判所がこれに同調したことについては「明らかな法的根拠なしに国民の基本権(集会の自由など)を侵害する」との指摘が出ている。 陳重権(チン・ジュングォン)元東洋大教授はこの日、フェイスブックに「明確な危険がない限り、国民の基本権をこのように勝手に制限してはならない」「コロナ保安法あるいはコロナ緊急措置だ。今は維新時代でも、第5共和国の戒厳状況でもない」と主張した。

 進歩陣営からも批判が出ている。革新系の野党「正義党」は28日のスポークスマン声明で「感染症拡大のリスクとは関係のない非対面のデモまで禁止するのは、憲法上の基本権制限における過剰禁止原則に違反する可能性が高い」と指摘した。与党を支持する市民団体「参与連帯」もこの日「接触のない車両集会であれば、最初から封鎖すべきではない。再考すべきだ」との見方を示した。かつて参与連帯に所属していたヤン・ホンソク弁護士(42)も今月26日、警察による「ドライブスルー集会禁止方針」について「1987年6月の抗争当時も車両によるデモはあった」として「車両集会そのものを阻止するという発想は、韓国を全斗煥(チョン・ドゥファン)時代に逆行させるものだ」との考えを示した。裁判所はこの日、同じ理由で一部保守団体による開天節対面集会も禁止した。

リュ・ジェミン記者