延坪島近海で北朝鮮軍に射殺され、遺体を焼かれた海洋水産部(省に相当)公務員Aさん(47)が「北に渡った(越北)」という海洋警察の発表に対し、Aさんの兄イ・レジンさん(55)は「完全なフィクション(虚構)」だとして強く反発した。また、事件発生から8日たっても韓国政府から電話がないと語った。

 イさんは29日、ソウルのプレスセンターで外信向けの記者会見を開いた。会見の席でイさんは「韓国軍当局や韓国政府はゴールデンタイム中に弟を救助せず、自ら北に渡ったと断定している」とし「当時、弟がNLL(北方限界線)近くに来たとき、北朝鮮が無線交信で警告放送をして韓国軍が対応放送をしたが、なぜそのとき弟を救助しなかったのか」と語った。

 また「韓国の軍と海警は『弟が22日に越北した』というフレームをつくり上げて追い込んでいる」として「敵対国である北朝鮮の通信傍受内容は信じてやりながら、(弟については)大変な犯罪に追い込んでいる」とし「弟は長い間船長をやって、国家公務員として8年間祖国に献身し奉仕した、透徹した使命感を持った愛国者だった」「こんな経歴を持つ弟を越北者に追い込む韓国政府に、未来はどこにあるのかと問いたい」と主張した。

 イさんは「弟は国と兄が救助してくれるだろうと信じていたはずで、死ぬときは国と兄を恨みつつ、最後に目と胸には祖国を収めただろう」とし「金正恩(キム・ジョンウン)委員長に訴える。弟を返してほしい」と語った。

さらにイさんは「今回の弟の事件で、(韓国政府の)深刻な人権抹殺と隠蔽(いんぺい)の状況は非現実的だということをかなり感じた」とし「きょうは事故からおよそ8日目になるが、ただの一度も政府から電話をもらったり連絡をもらったりしていない。先の土曜日、海洋水産部長官名義の慰労書の紙切れ1枚きり」と批判した。

 海警の中間捜査結果については「現場の調査とシミュレーションを通した経過を数種類提示すべきなのに、そういうものを提示せず急いで『越北』に追い込んだ」と語った。イさんは、本紙の電話取材でも「海警の発表は弟を犯罪者として放り出す反人倫的な仕打ち」「遺族の胸に刃を突き立てるな」とした。

アン・ヨン記者