「日本の敵」速報

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ハンギョレ

【#ハンギョレ】王毅外相「7カ月間は不確実だが…北朝鮮、来年は挑発ないはず」

27日、ムン・ジョンイン特別補佐官らとの朝食会で 

米中対立については 

「新冷戦反対。歴史の流れに逆行するもの」

 「バイデン政権が北朝鮮核問題の解決を優先順位の上位に置くとは考えられず、北朝鮮についても来年1月の第8回党大会以降どのような立場を取るのかを見なければならない。今後7カ月間は北朝鮮の核問題についての不確実性がある」

 中国の王毅外交担当国務委員、兼外交部長は27日午前、ムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官、キム・ギジョン国家安保戦略研究院長、民主研究院長のホン・イクピョ議員(共に民主党)、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近ユン・ゴニョン議員らとの朝食会の席で、来年初めの北朝鮮情勢について簡略に見解を述べた。ムン特別補佐官が明かした。王部長は「バイデン政権が対北朝鮮政策を確定し、北朝鮮も来年初めの第8回党大会を通じて新しい方針を決める7カ月ほどの間は、不確実性がある」としつつも「北朝鮮は(事態を決定的に悪化させる)軍事挑発は行わないだろう」という肯定的な見通しを示したという。1994年から北朝鮮核問題に関与してきた王部長は、2018年1月の金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長の新年の挨拶以降に始まった朝米対話局面で、北朝鮮のリ・ヨンホ外相の招請や、2019年6月の習近平国家主席の訪朝への随行などで、北朝鮮を3回訪問している。ムン・ジョンイン特別補佐官は29日の本紙の電話インタビューで、王部長が言及した来年上半期の北朝鮮情勢についての見解と、現在進行中の米中対立についての中国の立場を次のように紹介した。

-王部長と27日に朝食を共にしたが。

 「王部長は我々が提起した多くの問いに丁寧に答えてくれた。特にノートなしに自分の考えを語り、我々の話の内容を書き取っており、頭の良い人だと感じた。他の公式会談ではなかったはずの話を虚心坦懐に大いに語り合った。当初は午前9時までの予定だったが、質疑応答で長くなり、20分ほどオーバーした。中国大使館での会談が終わった後、『短い時間に多くを語り合った』という返信をしてきた」

-最大の関心は、2021年1月20日のバイデン政権発足後に、朝米関係にどのような変化が起こるかだ。

 「北朝鮮の核問題について、中国は2018年の6・12シンガポール共同宣言を支持すると述べた。この宣言に出てきた『朝鮮半島の恒久的かつ強固な平和体制の構築』と『朝鮮半島の完全な非核化』の同時推進は、中国が主張する双軌並行(朝鮮半島の非核化プロセスと、朝米平和協定体制に向けた交渉を並行して進めようとの中国の提案)と同じ脈絡だと述べた。シンガポール宣言を土台として関係国と協力していかねばならないというのが、王毅部長が明らかにした中国の基本的立場だった。

 そして、今後7カ月は北朝鮮の核について不確実性があるという見解を述べた。バイデン政権は、北朝鮮核問題の解決を優先順位の上位に置くことはないように思われるし、北朝鮮も第8回党大会後にどのような立場を取るのか見極めなければならないということだ。そして、この問題は南北が主導的に解決していかなければならないという意見を述べた。また、北朝鮮の第8回党大会を注視しなければならないが、自分の考えでは北朝鮮が軍事挑発をするとは思えないとの見通しを明かした」

-米中対立についての見解は。

 「韓国側の参加者がまず『米国は韓国にとって一つしかない同盟で、中国は一つしかない戦略的協力パートナーだ。両国が仲良くなれば韓国にとっては良いが、仲が悪くなれば韓国など域内のすべての国が苦しくなる』と述べた。そして、現在起きている米中対立の4つの側面である貿易摩擦、▽デカップリング、▽技術牽制、▽(香港や新疆ウイグル人権問題などの)価値問題などを指摘した。一部のメディアは王部長が傲慢だというが、我々の疑問に対し、親切に一つずつ説明していた。王部長が一方的に説得したのではなく、韓国がまず『米中関係が良くなければ韓国は苦しい』と言ったので、中国の立場はこうだと冷静に説明したのだ」

-具体的な答えは。

 「我々が、中国は『徳治』をなすべきではないかと言うと、『中国は兵家や法家の伝統には従わず、儒家の伝統に従う。儒家の伝統とは徳治であり、これはウィン-ウィンの関係だ。ウィン-ウィンの関係を作ろうと努力している』と答えた。そして『中国は新冷戦に断固反対する。これは歴史的反動だ。グローバル化を通じて相互利益はつながっている』との見方を示した。その後、我々が言及した4つの項目の一つ一つを説明してくれた。

 第一に貿易赤字については、ドナルド・トランプ大統領は中国と貿易戦争を繰り広げたが、中国に対する赤字幅はむしろ増えたと述べた。米中貿易には「市場の法則」が作用するということだ。

 またトランプ大統領はデカップリングを推進しているものの、米国企業が反対していること、(今月5日から6日間行われた)上海での『中国国際輸入博覧会』には米国企業が最も多く参加したことなどを説明した。そして、米国は中国を地政学的に封鎖しようとしているが、そう簡単にはいかないだろう。域内の諸国とは良い関係を結んでいると語った。

 第三の技術面についても、米国は中国の首を絞めようとしているが、自主と革新を通じて克服するつもりであり、中国の優秀な(海外)人材が戻ってきているという流れを紹介した。

 第四に、米国のいう(民主主義や人権などの)価値の問題については、トランプ政権は中国の成功を望んでいないようだと述べつつ、人口14億人の中国が米国式モデルで発展を続けることはできない、人口14億人の中国は独自の発展モデルによって進むのが歴史の流れだ、国際社会では米国の宣伝戦が激化しており、中国に対する圧力が強化されているが、中国もかつてとは違う、発言権と影響力が以前とは違うと答えた」(王毅部長は、25日の日本の福田康夫元首相との会談で、バイデン政権以降の米国は「多者主義」へと回帰すると思う、それを注視しているとの見解を示している)

-韓国に望むことは。

 「韓中が互いに協力していこうと述べた。中国外交部が27日に発表した通り、韓国がバランスの取れた外交を展開すると信じるという言葉もあった。目を引いたのは、王部長が100年の変化を強調したという点だ(この日の会談の内容を要約整理した中国外交部の資料によると、王部長の最初の発言は『世界は100年の変化の局面にある。国際情勢は調整と変革が加速している』とまとめられている)。2021年は中国共産党結党100周年、2049年は中華人民共和国建国100年だ、今が100年ぶりの歴史の変曲点だと述べた。中国は近ごろ100年言説が続いている」

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/971992.html

【#ハンギョレ】「戦時共産主義」のように経済の部分的社会化を

基調講演|スラヴォイ・ジジェク 

ポストコロナ時代のニューノーマル 

 

新しく不吉な自然の登場を招く 世の中を保全するには急進的変化が必要 

「知ろうとしない意志」が防疫を妨害 誤った個人主義の対価を支払っている

 「せめて世界をありのままに保存する機会を得るためには、我々は世界を急進的に変えなければならない」

 スロベニアの哲学者スラヴォイ・ジジェクは、本紙に送ってきた第11回アジア未来フォーラムの基調講演動画でこのように述べた。干ばつや山火事のような気候災害、我々の日常を破壊するウイルス、貧富の差などで世の中が徐々に壊れつつあるため、さらに悪化するのを防ぐだけのためにも急進的な変化が必要だというのだ。ジジェクはフォーラム初日の12月2日に「ポストコロナ時代のニュー・ノーマル」をテーマに基調講演を行う

 ジジェクは、コロナパンデミックは我々の経済システムがもたらした災害と見ている。今年7月に韓国で翻訳出版された著書『パンデミック・パニック』において、「持続しえない恒久的自己膨張を要求する全地球的資本主義経済、成長率と利潤可能性に執着する経済」がウイルス事態を招いたと指摘したのと同じ脈絡だ。彼は基調講演で「我々は自然を破壊しているだけでなく、新しく不吉な自然の登場を招いており、この新しい自然に我々の居場所はないだろう」とし「コロナパンデミックも『新しく不吉な自然』の一例ではないだろうか」と問う。

 ジジェクは、コロナパンデミックのような地球規模の災害に対応するには「『戦時共産主義』と呼ばざるをえない何か」が必要だと主張する。「保守勢力が政権担当中の国でも、市場の法則に明白に反する決定がますます多く出されている。国家が産業と農業に直接介入し、飢餓の予防などのために数十億ドルを充てている。感染が増え続ければ、経済の部分的な社会化がさらに差し迫ったものとなるだろう」

 ジジェクは、マスクの着用やソーシャル・ディスタンシング規制に抵抗する人々も、強い口調で批判する。彼が見るところ明白な新型コロナの深刻さを受け入れることを拒否する動きの根底には「知ろうとしない意志(will not to know)」がある。ウイルスについて知り過ぎれば、自由な生き方についての我々の観念を脅かす政策につながり得るため、深刻なことが起こっていないように行動した方が良いと考えるというのだ。こうした行動はコロナの危険性の露骨な否定(正常な生活への復帰)、陰謀論(完全な社会統制のための「ディープステート」の計画説)などの様々なかたちで現われる。

 ジジェクは「パンデミックは我々の体に染み付いたノーマリティー(正常状態)についての感覚、すなわち我々の生き方を規定する基本的な諸慣習を弱化させ、我々が不自然だと感じるあり方で生きていくように仕向ける。人々はこうした実存的な恐怖のため、パンデミックの真実に背を向ける」と解釈した。彼はカール・ポランニー社会経済研究所のホン・ギビン所長との映像対談で、「知らないという意志」の誘惑を克服するのは非常に難しいことだという問いに「だから私は、人々の信頼を得つつも強力な国家の権威を信じる」とし「もしかすると今、西欧は誤った個人主義の代価を支払っているのかもしれない。我々は新たな自由を再発見すべきだ」と述べた。

イ・ジョンギュ|ハンギョレ経済社会研究院研究委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/economy/heri_review/971576.html

【#ハンギョレ】頭から汁をかけ胸倉つかむ…職場でのいじめ、加害者に懲役1年判決

昌原地裁統営支部

 職場の同僚に暴言や暴行を繰り返し、自殺へと追いやった加害者が懲役1年の刑を言い渡された。

 昌原(チャンウォン)地裁統営(トンヨン)支部刑事2単独のチャン・ジヨン部長判事は29日、傷害・暴行・侮辱の疑いで起訴されたK被告(40)に対し、懲役1年を言い渡したと発表した。チャン部長判事は、検察の公訴事実をそのまま受け入れ「K被告は初犯だが、被害者が自殺したことを考慮すれば、実刑は避けられない」とし「ただし被告が初犯であることを考慮し、防御権保障の観点から法廷拘束は行わなかった」と述べた。

 K被告は、統営市立火葬場で公務職として勤務中、同僚の被害者Aさんに暴言や暴行を加え、自殺へと追いやった疑いで起訴された。判決文によると、K被告は昨年4~5月ごろ、10歳年上の被害者と事務所で口論となり、弁当用のスープの器をつかみ、被害者の頭の上からかけたうえ、胸ぐらをつかんで転倒させた。他の人たちがいる場で「何の必要もないゴミのような人間」と何度も暴言を吐いた。結局、被害者のAさんは昨年5月30日に自殺。

 その後、Aさんの娘が「父が社内いじめを受けて自殺した」とし、大統領府国民請願掲示板に真相究明を求める請願書を上げた。Aさんの娘は「10年以上統営公設火葬場で働いていた父が、今年1月に入社した新しい同僚と摩擦が生じ、何度も暴言を浴び、暴行に苦しんでいた」とし「暇さえあれば父を苦しめ、『俺はコネがあって偉い人たちをたくさん知っている』と脅迫した」と訴えた。この請願には13万人以上の同意が集まった。

シン・ドンミョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/area/yeongnam/971977.html

【#ハンギョレ】[徐京植コラム]米国の「断末魔」は続く

 いよいよ全世界で「ディストピア」到来の様相が深くなっている。

 秋の深まりとともに新型コロナ禍がまた猛威をふるい始めた。米国やヨーロッパはもちろん、日本でも東京など大都市圏で連日、過去最高の感染者数を更新している。21日には日本全国の1日の新規感染者数が2500人を超えた。こんなことが、いつまで続くのだろう?ある学生は次のように苦しい胸の内を吐露している。「この先どうなってしまうのだろう。来年度はもちろん、2,3年後になっても大学に行って授業を受けることはできないのだろうか。私自身、外出する機会がめっきり減って、ずっと家にこもりオンラインの授業もまともに受ける集中力はなく、東京に上京した3月から何も成長していない気がしてならない。このまま、状況が変わらなかったり、もしくは悪化していってしまったら、自分の中の感情や精神や理性が失われてしまいそうで常に虚無を感じている」

 このような切実な訴えに接しても、残念ながら私にできることはほとんどない。

 先日の米大統領選挙で民主党バイデン候補が現職のトランプ大統領を破ったことは久々に聞く朗報だった。だが、現在もなお、トランプは敗北を認めず、選挙結果を覆そうと悪あがきを続けている。それどころか、残りわずかな任期中に外交内政にわたってさまざまな既成事実を作ろうとしている。しかも、米国民の半数近くが、そんなトランプを支持しているのだ。こんな事態は、一種の悪い冗談として語られることはあったが、いま起きていることは、冗談ではなく現実だ。

 11月19日、イスラエルが占領中のゴラン高原とヨルダン川西岸のユダヤ人入植地をポンペイオ米国務長官が訪問した。ゴラン高原では「ここはイスラエルの土地である」と述べ、エルサレム近郊の入植地では「今後は入植地産の輸出品を『イスラエル産』とみなす」と宣言した。これなどは、駆け込みで既成事実を重ねようとする露骨な企てそのものだ。当然、パレスチナ自治政府とシリア政府は激しく反発している。

 今から3年半前の2017年4月6日、米軍は突然シリアへの空爆を実行した。トランプはシリア政府軍側の化学兵器の犠牲になったとされる「美しい赤ん坊」の映像を見て心を動かされたのだという。訪米中の習近平中国国家主席と夕食をともにしながら、攻撃命令を下したのだ。その後、アフガニスタンで「核兵器に次ぐ破壊兵器」とされる巨大爆弾(MOAB)を使用した。「美しい赤ん坊」への賛辞はあっても、米軍の空爆の犠牲にされたシリアやアフガニスタンの市民についての言及はない。ニューヨーク・タイムズの報道によると、トランプ大統領は12日の政権幹部との会議で、イランの核施設を攻撃する選択肢について尋ねた。ペンス副大統領など側近が「大規模な紛争にエスカレートする可能性がある」として思いとどまらせたという。ただ、トランプは今後も、一発形勢逆転のため軍事オプションを狙い続けるだろう。中国との軍事衝突もあり得るだろう。トランプの「悪あがき」や「憂さ晴らし」に巻き込まれて、多数の人命が奪われかねない。まさにディストピアである。

 今年6月29日、トランプは、米国が世界保健機関(WHO)との関係を解消すると表明した。国際社会(とりわけ米国自身)が長年かけて培ってきた公衆衛生上の国際協力の枠組みを破壊するという宣言である。資金や人力の不足から必要な援助を受けられずに命を落とす人が増えるだろう。本日の時点で、米国では新型コロナによる25万140人の死者と1149万2593人の感染者が確認されている。死者数、感染者数共に世界最多である(日本時間19日午前)。

 トランプ政権の下で、死ななくても済んだはずの命がどれだけ失われたことか。彼が殺しているのは外国の市民だけではない。自国の市民たちなのだ。すでに何回か述べた言葉だが、もう一度言おう。人間は疫病によってだけではなく、人間に殺されるのである。

 そのようなトランプを、とにもかくにも大統領選挙で敗北させたのは、コロナ禍への意図的無策と「ブラック・ライブズ・マター」運動を始めとする人種差別や性差別に対する広汎な市民の反発であっただろう。今年5月にミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人のジョージ・フロイド氏が白人警察官に首を圧迫されて死亡し、この事件をきっかけに抗議運動が全米に広がっていった。それはトランプ再選反対運動の重要な要素となった。

 一枚の絵を紹介しよう。日系米人画家、石垣栄太郎の作品「K.K.K.」(1936)である。ビリー・ホリディが歌った「奇妙な果実」という歌がある(1939年)。「南部の樹々には奇妙な実がなる…南部の風にぶらぶら揺れる黒い身体、ポプラの樹々に吊り下がる奇妙な実」、1920年代には米国南部一帯で日常化した黒人差別とリンチ、その実行者が白人至上主義結社クー・クラックス・クラン(K.K.K.)だった。

 和歌山県出身の石垣栄太郎は、出稼ぎ移民として渡米した父を追って少年時代に渡米し、働きながら英語を学び、聖書や社会主義の書籍などにも親しんだ。当時の排外的な米国社会の風潮のもとで、社会的意識に覚醒した。1914年から絵画をサンフランシスコやニューヨークで学び、1916年頃より絵画制作を始めた。画面にリンチされようとする黒人だけでなく、K.K.K.の白頭巾を引き剥がそうとするもう一人の黒人を登場させて、力強い抵抗の様子も描いている。1929年、著名な左翼ジャーナリスト、ジョン・リードの名を冠した作家集団「ジョン・リード・クラブ」が結成され、画家の石垣栄太郎や野田英夫ら左派系日本人も参加した。「K.K.K.」を発表した1936年は、石垣自身が準備委員を務めたアメリカ美術家会議が結成された。妻・綾子とともに日本軍国主義に反対し、フランクリン・ルーズベルト大統領が設置した諜報・宣伝機関「戦争情報局」(OWI)で活動した。しかし、太平洋戦争が始まると敵性外国人として行動を制限され、戦後の冷戦下には「マッカーシズム(赤狩り)」の標的された。1951年に日本に帰国し、再び渡米することなく7年目に死去した。

 前記の野田英夫、この欄(2018-07-20 )でも取り上げた宮城与徳、アメリカを代表する画家の一人となった国吉康雄など、日系米人画家たちの中には社会主義または民主主義の立場から祖国日本の軍国主義に反対した者たちがいた。彼らは移民や出稼ぎとして米国に渡り、厳しい人種差別の中でハウス・ボーイ、給仕、鉄道工夫、季節農業労働者などとして労働しながら画家修行を重ね、「生活者」として当時の社会の現実に眼を向けた。パリに学んだ画家たちと異る点である。1930年代の「善きアメリカ」の空気が彼ら「善き日本人」を育んだ。宮城は獄死し、コミンテルンから密命を受けて地下活動していたとされる野田は日本で病死した。

 ある識者は「トランプ政権とはヘゲモニーを喪失しつつある米国の断末魔のようなものだった」と述べている(吉田徹北海道大学教授「毎日新聞」11月18日)。その通りだ。米国は分断され衰退の道を着実に転落しつつある。だが、この断末魔はまだ長く続き、多くの腐敗と破壊を重ね甚大な損傷を人類社会に与えるだろう。石垣の作品「K.K.K.」から90年ほど経った今年、白人警官が黒人市民を殺し、それに抗議する人々を白人至上主義者(トランプ支持者である)が罵り威嚇している風景を見た。K.K.K.は生きている。米国が(そして世界が)変わるということが、どれほど長く困難な道であるのかを私は想わずにいられない。

 いつまで? せめて「感情や理性」が失われないように、「虚無」に呑み込まれないように、この困難の中で正気と尊厳を保って闘い続けている善き人々、例えばベラルーシや香港、タイの人々に学びつつ、自らを励ましたい。

徐京植(ソ・ギョンシク) |東京経済大学教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/971660.html

【#ハンギョレ】日本の市民団体、三菱重工業に「強制動員解決を求める」はがき千通送る

 韓国の最高裁判所(大法院)が三菱重工業の強制動員被害者に対する損害賠償判決を下して2年がたつなか、日本の市民団体が問題解決を求め三菱の社長宛てに1000通のはがきを送る運動を始めた。

 「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」は27日、「韓国大法院の判決が確定して2年になったが、問題が解決されず残念な気持ちだ」とし「新型コロナウイルス拡散によって集会が難しく、会員と共にはがきを送ることにした」と明らかにした。彼らは今月20日から三菱重工業の泉澤清次社長宛てにはがきを送り始めた。毎週金曜日ごとに会員がはがきを送る予定で、「1000通」を目標にしている。彼らが送るはがきには「損害賠償を命じた2018年11月29日からすでに2年が経過しようとしているが、貴社は何らの対応もせぬまま原告らを放置し続けている」とし「和解協議にすみやかに応じること」とが書かれている。

 また、同会はこの日、問題解決のための話し合いを求めて三菱に公式要請書を送った。要請書で「民間企業として独立した立場を持って日本の植民地支配の加害行為を直視することこそ、三菱が国際的な立場を確立できる機会」だとし「日韓関係改善の糸口にもなる」と強調した。来月10日までに返事をしてほしいと要求している。

 韓国の最高裁は2018年11月29日、日帝による強制動員の被害者が三菱重工業を相手取って起こした損害賠償訴訟で、一人当たり8千万~1億5千万ウォン(約750万~1415万円)の支払いを命じる判決を言い渡した。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/international/japan/971853.html

【#ハンギョレ】[社説]検察の「裁判官査察」疑惑、迅速な究明が必要だ

 チュ・ミエ法務部長官がユン・ソクヨル検察総長の職務排除を命令する際に根拠として提示した不正容疑のうち、「裁判官違法査察」の部分が熱い争点になっている。検察が主要事件の裁判を担当した判事らを対象に、政治的スタンスや個人情報などを収集して活用したというチュ長官の発表内容は、事実なら深刻な事案であることは間違いない。しかし、検察が作成した報告書の内容と作成意図、活用方式などが具体的に確認されておらず、あらゆる推測と論議を呼んでいる。事案の性格と国民的関心に照らして、迅速に真相を明らかにしなければならない。

 この報告書を作成した検事は25日、検察内部のネットワークに書き込み「円滑な公訴維持のために参考資料として作成し、担当部署である反腐敗部と公共捜査部にのみ提供した」とし「資料収集もマスコミの記事など公開された資料とポータルサイトを検索した資料をもとにした」と反論した。ヤン・スンテ最高裁長官時代、裁判官を統制する目的で作成された文書「物議を醸した裁判官」リストを活用したという疑惑については、「司法行政権濫用事件のうちある事件の裁判官だけがこのリストに含まれている」とし、「公判チームがすでに知っている内容をリマインドする次元で記載したもの」と説明した。要するに違法性がないということだ。

 一方、裁判所ではこのような情報収集・活用自体が裁判の公正性を侵害するという批判が出ている。ある部長判事は裁判所内部のネットワークに「検事は証拠で裁判をするという考えを持たなければならないのに、裁判部の傾向を利用して有罪判決を引き出すなど、それは裁判部を操ろうとするのと同じだ」と書き込み、裁判所事務総局に厳重な対応を要求した。報告書を裁判担当の検事ではなく、最高検察庁レベルで組織的に作成・共有していた点、これを受け取った部署が内偵や捜査も担当する部署だという点なども、その意図を疑わせる部分だ。

 結局、判事に関する情報収集が正常な検察業務に属するのか、適法な手段と範囲内で収集されたのか、それを通じて裁判に不当な影響を及ぼそうとしたのかなどが、違法査察であるかどうかを判断する基準になるだろう。最高検察庁監察部が同日、報告書をまとめた最高検察庁の捜査情報政策官室を強制捜索したのも、これを明らかにするためのものと見られる。チュ長官の発表が出た後に強制捜索が行われたのは辻妻が合わない面があるが、いずれにせよ正確な事実関係を究明しなければならない。与野党がユン総長とチュ長官に対する国政調査など性急な主張をしているが、監察結果を見守った後で判断しても遅くない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/971508.html

【#ハンギョレ】韓国防衛事業庁、韓国型パトリオット「天弓2」の引き渡しを開始

 北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃する誘導兵器「天弓(チョングン)2」が最近、韓国軍に引き渡された。

 天弓2は「韓国型ミサイル防御」(KAMD)の中核的な構成要素で、北朝鮮の弾道ミサイルが飛んでくると高度10~20キロメートルの高さで迎撃する迎撃ミサイルだ。パトリオットミサイルと共に韓国型ミサイル防御の低層防御を担う。軍当局は高層防御のために、長距離空対地ミサイル(L-SAM)を2020年代半ばの完了を目標に開発している。

 防衛事業庁の発表によると、天弓2は2012年から国防科学研究所(ADD)の主管で開発され、様々な試験発射で100%の命中率を記録し、2017年6月に戦闘用適合判定を受けたという。2018年に量産に着手し、今回初めて砲台物量を軍に引き渡すことになった。

 天弓2は航空機迎撃用の「天弓」を弾道ミサイル迎撃用に性能を改良したものだ。コールドローンチ方式で発射され、能動誘導レーダー方式で弾道ミサイルを見つけ、直撃破壊する。

 天弓2は、弾道弾迎撃のための交戦統制技術と多機能レーダーの弾道弾追跡技術が適用され、誘導弾には速やかな反応時間の確保のために前方翼操縦型の形状設計や制御技術、連続推力型の側推力など、世界最高水準の技術が適用されたと、防衛事業庁は説明した。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/971664.html?_fr=mt3

【#ハンギョレ】文大統領、習主席のメッセージに「新たな30年に向けた長期協力案を設けよう」

大統領府で王毅・中国外交部長と面会

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領が26日、1年ぶりに韓国を訪れた中国の王毅外交担当国務委員兼外交部長と面会し、「2年後の韓中国交正常化30周年を迎え、新たな30周年を期待する長期的協力案を設けよう」と述べた。王部長は同日、文大統領に中国の習近平国家主席の口頭メッセージを伝えた。

 文大統領は同日午後、大統領府で王部長と面会し、新型コロナウイルスによる困難にもかかわらず訪韓したことについて、歓迎の意を表した。文大統領は王部長に「新型コロナで厳しい状況の中でも両国間に多様な高官級交流が続いていることをとても嬉しく思う」とし、「多くのきっかけに韓中関係の重視(の姿勢)を示してきた習近平主席に暖かい挨拶を伝えてほしい」と述べた。文大統領は昨年12月、王部長と面会した際、「習近平主席に近いうちにお会いできる日を心待ちにしている」と述べたが、この日の冒頭発言では会談について特に触れなかった。

 文大統領はさらに「今後も我々両国が経済協力とともに人的・文化的交流協力をさらに強化していくことで、戦略的協力パートナー関係をより緊密に発展させていくことを望んでいる。特に、2年後に韓中国交正常化30周年を迎え、新たな30年に向けた長期的な発展方策を立てていくことを望んでいる」と述べた。

 また「特に、これまで朝鮮半島平和プロセスの過程で中国が示した建設的な役割と協力に感謝を表する」と、「韓国政府は中国を含む国際社会とともに朝鮮半島で戦争を終息させ、完全な非核化と恒久的平和の実現に全力で取り組んでいく」と述べた。

 王部長は文大統領の発言後、「まず習近平主席と李克強首相から大統領に最も親切な挨拶をお伝えする」と答えた。王部長は「いま新型コロナが完全に終息していない状況で、招請を受けて韓国を訪問し、私の向かい側に座っているカン・ギョンファ長官と会談を行った」とし、「このような実質的な行動を通じて、我々の対韓関係の重視、そして韓国が新型コロナを完全に打ち勝てるという信頼を示すためだ」と述べた。さらに「(カン長官と)会談を通じて私たちは10の共感を形成した。その中には双方の協力、そして地域問題に関する共感もあった」と付け加えた。

 王部長はまた「習近平主席は大統領との友情、そして相互信頼を非常に重要視しており、特に私に口頭メッセージを伝えてほしいとおっしゃった」と述べた。

 同日、文大統領と王部長の面会にはカン・ギョンファ外交部長官、ノ・ヨンミン大統領秘書室長、ソ・フン国家安保室長、ケイ海明・駐韓中国大使らが同席した。王部長は25日、日本で菅義偉首相を表敬訪問した後に訪韓した。

イ・ワン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/971702.html

【#ハンギョレ】韓国検察総長、「判事査察」議論の文書を公開…判事の細かな個人的内容が記載

「判事査察」議論の文書を公開 出身・主要判決・世評項目に分かれる 

7ページの分量に判事37人の情報を記録 

世評に「検察が対応しやすい」 「ウリ法研究会」政治的傾向の把握も

 ユン・ソクヨル検察総長側は26日、裁判所に職務停止処分取消し請求訴訟を起こすと同時に、いわゆる「判事査察」議論を呼んでいる最高検察庁の捜査情報政策官室の文書を公開した。7ページの同文書には、13の裁判部を担当した37人の判事の情報が記されているが、特殊・公安事件の裁判部については、過去の判決をまとめ判事の政治的傾向を把握しようとする傾向が目立った。また、ウリ法研究会への加入や、「物議を醸した裁判官」に含まれているかなどが言及されていた。最高検察庁による「控訴維持のための参考用資料」という主張と、法務部による「判事の個人情報と傾向を収集した査察」という主張が激しくぶつかっている。この日、ユン総長側が文書を公開すると、法務部はただちにこの文書が判事に対する違法査察の根拠だとし、ユン総長を職権濫用の疑いで最高検察庁に捜査を依頼した。

 同文書には、主要な事件を担当している裁判部の裁判長と主審判事の情報が、出身・主要判決・世評の項目に分類され記録されている。査察疑惑が提起された部分は「世評」の項目だが、これについて、同文書を作成したソン・サンウク元最高検察庁捜査情報第2担当官は「公判検察官による評価を記録したもの」だと明らかにしている。特に、司法壟断捜査の際に入手した「物議を醸した裁判官」リストを活用したと法務部が疑う点も世評項目に出てくる。司法壟断事件を担当した裁判部のある陪席判事についての世評には、「裁判所事務総局(が作成した)2016年度の物議を醸した裁判官リストに含まれる」との記述の後に「2015休日当直前日に酒を飲み、翌日遅くに起き、当直裁判官として令状審問期日に欠席、メディアで報道」とカッコの中に書かれている。法務部はこの点を根拠に、最高検察庁が「物議を醸した裁判官」リストを直接・間接的に“確認”したものとみている。

 司法壟断事件を担当する裁判部は、「出身」項目で出身高校と大学以外に、最高裁判所(大法院)と裁判所事務総局の勤務の有無も合わせて把握されていた。ユン総長側は判事の氏名と担当事件の名前を分けていたが、公開された情報をもとにどの裁判部なのか特定できる。ヤン・スンテ元最高裁長官の司法壟断事件を担当しているソウル中央地裁35部のパク・ナムチョン部長判事について、「公判準備期間当時、断固とした争点整理など、強い姿勢を示したが、いざ被告人(ヤン元最高裁長官、パク・ビョンデ、コ・ヨンハン元最高裁判事)が出廷する正式な公判期日になると、慌てたような様子とともに、被告人側の無理で非常識な主張をすべて受け入れ、消極的な態度を示した」と書かれている。裁判の過程で被告人に有利な態度を示したという評価だった。ソウル中央地裁刑事36部のユン・ジョンソプ部長判事に対しては、「裁判長主宰の会で、司法行政権の濫用疑惑の関係者を厳しく処断しなければならないと述べたという記者からの情報提供がある」という被告人の裁判部忌避申立ての内容が記入されてもいた。

 政治的争点を扱う特殊・公安事件の裁判部については、過去の判決を通じて政治的傾向を把握しようとする傾向が明確だった。まず、チョ・グク前法務部長官の事件を担当しているソウル中央地裁刑事21部のキム・ミリ部長判事の「主要判決」項目には、全教組(全国教職員労働組合)の法外労組撤回を要求して警察と衝突したデモ隊に執行猶予判決(警察官に2~3週間の傷害を与えた事案、検察官は実刑を求刑)▽大学時代にデモ参加の前歴で軍務員採用から脱落した受験者の不合格取消しを認めた件などが挙げられていた。世評では「ウリ法研究会出身だが合理的だという評価」を付けた。「可能な限り検察官や弁護人の言葉をさえぎらず傾聴する。積極的には検察官や弁護人にああしろこうしろと言わないタイプ」とも書かれていた。「特異事項」では、検察幹部の妻の妹だという事実が明かされた。文書作成者であるソン・サンウク担当官はこれについて、「裁判長が検察官と親戚である場合、被告人や弁護人が公正性の問題を提起することがありうるという点を考慮し記載した」と説明している。

 東洋大学のチョン・ギョンシム教授の事件を担当しているソウル中央地裁刑事25部のキム・ソンヒ部長判事の「主要判決」項目には、金大中(キム・デジュン)元大統領など緊急措置の被害者の国家賠償事件での原告敗訴判決が記された。イム・ジョンヨブ部長判事については、セウォル号の船長と海洋警察の艇長に重刑判決、クォン・ソンス部長判事については、違法選挙運動を行った自由韓国党の所属区長に職位喪失と罰金刑を言い渡した判決が言及されていた。

 ファストトラック(迅速処理案件)で与野党政治家が衝突した事件を担当しているソウル南部地裁刑事11部のイ・ファンスン部長判事の「主要判決」項目には、民主労総委員長の執行猶予、野党政治家の賄賂に対する無罪(政治資金法違反は有罪)、江西(カンソ)インターネットカフェ殺人事件で懲役30年判決などが挙げられた。また、別の裁判部である刑事12部の裁判長のオ・サンヨン部長判事の「主要判決」には、民主労総委員長の拘束適否審で釈放、民青学連事件で国家賠償責任を認定、統合進歩党のイ・ソッキ元議員に対する選挙補填金返還請求訴訟の国側敗訴の判決が書かれていた。

 その他にも、「検察に敵対的ではない」「世論や周辺の雰囲気から影響を多く受ける」「几帳面に裁判を進めるが、検察が対応しやすい」「見せる用の進行を望む」など様々な世評が記載された。ある陪席判事に対しては、大学と一般人のアマチュアのバスケットボールリーグで活躍した点に言及し、「大学在職時からバスケットボールの実力で有名」だと記した。その他の事件に分類された裁判部の判事については、サムスン電子で証拠隠滅に加わった役員に実刑判決、国会を欠席した財閥に罰金刑判決、採用不正の銀行人事部長の拘束などが「主要判決」に書かれた。

 この文書を公開したユン総長側は、「ほとんどが『韓国法曹人大観』やメディアなどで公開された資料であり、一部の公判検察官に尋ねた内容が全て」だとし、「公判手続きに関与する検察官の指導のための業務参考用であり、作成した目的と公開された資料を収集した過程および対象に照らし、査察ではない」と主張した。

 しかし法務部は、「検察総長の指示により、判事の違法査察文書が作成され配布された」とし、ユン総長への捜査を依頼した。法務部は、文書で判事の世評を書いたり、「物議を醸した裁判官」の確認やウリ法研究会の出身かどうかを書いた事実を挙げ、政治的傾向を分析したものだと解釈される各判事の「主要判決」の分析など裁判に影響を及ぼす方向に悪用されかねない敏感な個人情報が含まれており▽実際に検察に不利な判決を下した判事がウリ法研究会出身だという理由で攻撃されたりするなど、悪用されたことが疑われる事例もあるとし、「極めて重大な犯罪だと判断」したと明らかにした。

キム・テギュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971745.html

【#ハンギョレ】[コラム]日本学術会議、6人はなぜ「菅ブラックリスト」に載ったのか

 日本では「菅ブラックリスト」と呼ばれれる日本学術会議会員6人の任命拒否問題をめぐり、2カ月にわたり対立が続いている。彼らを任命するよう求める学術会議側に対し、菅義偉首相は当初の立場を貫いている。先月26日に始まった臨時国会でも争点になっている。議員らはなぜ任命を拒否したのか、その理由については明らかにすべきだと追及したが、菅首相は「個別の人事に関しては答えられない」という答弁を繰り返した。

 日本学術会議は1949年に学者たちが太平洋戦争に動員されたことを反省し、「戦争を目的とする化学研究には絶対従わない」という原則を持って作られた。国費で運営されるが、独立した機関として政府に政策提言などを行う。研究業績を評価して(学術会議側が)候補者を推薦すれば首相が任命するが、今回、菅首相が同会議の70年の歴史上、初めて候補105人のうち6人の任命を拒否し、波紋が広がった。

 今回「菅ブラックリスト」に載ったのは次の6人だ。芦名定道・京都大学大学院教授(宗教)、宇野重規・東京大学教授(政治学)、小澤隆一・東京慈恵会医科大学教授(憲法)、加藤陽子・東京大学大学院教授(歴史学)、松宮孝明・立命館大学大学院教授(刑法)、岡田正則・早稲田大学教授(行政法)。彼らには研究分野こそ異なるものの、共通点がある。政府政策に反旗を翻したことがある点だ。彼らは、2015年に安倍晋三首相(当時)が自衛隊の国外武力紛争に介入できるよう法案を改正する際に反対した。学者たちは抗議声明を発表し、集会と記者会見などを開いて市民たちとともに戦った。「大学は日本が行った侵略戦争に協力したという痛恨の歴史を持っている。二度と若者を戦場に行かせるわけにはいかない」。1万人を超える学者が反対署名に参加した。激しい抵抗にもかかわらず法は可決されたが、安倍首相には政治的打撃となった。また、彼らは2017年、安全保障を理由に一般市民の自由を侵害するテロ防止法などの制定にも反対の声をあげた。

 沖縄問題に乗り出した教授もいる。日本全体面積の0.6%にすぎない沖縄には、米軍基地などの施設の70%が集中している。日本政府は、沖縄普天間基地を辺野古海岸地帯への移転を進めている。しかし住民たちは環境破壊と安全などの懸念から、「これ以上基地を建てるな」と政府と対立している。2018年、岡田教授を含む行政法専門家110人は工事過程で明らかになった法律違反の内容を指摘する声明を発表した。日米合意事項で焦りを募らせている日本政府としては、これを批判する学者らが「目の敵」のような存在だった。

 彼らは「学者の名のもとに」日本の平和と市民たちの自由を守ろうとし、孤独に戦う沖縄住民たちと手を携えた。政府の政策に多くの学者が反対したが、今回6人だけを拒否したのは、いわゆる「見せしめ」としての意味がある。人事で権力に従わせるのは菅首相の長年のスタイルだ。

 菅首相は2日、国会で自分の人事哲学についてこのように語った。「政治家は選挙でこのような政策をやると約束して当選する。ところが官僚が反対すれば、国民との約束を守ることはできない。反対する人を違う所に行かせるのはやむを得ないこと」。菅首相は国会で日本学術会議会員たちが特別公務員であることを数回強調した。直接理由を述べなくても、なぜ6人を拒否したのか、誰でも推察できる。菅首相が強調した政治責任は、あながち間違っていない。ただし、学問の自由など民主主義を脅かし、自分の思い通りに物事を進める政治権力を、私たちは「独裁」と呼ぶ。市民社会の批判にもかかわらず、良心的な学者を拒否するなら、安倍前首相がそうだったように、菅首相も目的を果たしたとしても、政治的打撃を受ける恐れがある。

キム・ソヨン東京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/971669.html

【#ハンギョレ】[ニュース分析]中国外相が韓国記者の“マスク”に注目した理由とは

習近平主席の年内訪韓の可能性に関する質問に 

「重要なのは訪問の条件を整えること」 

カン外交部長官との会談で韓中関係「守望相助」と表現 

同じ困難に立ち向かって助け合う戦略的パートナーという意味 

 日本には近い隣人という意味の「一衣帯水」という言葉を使った王毅中国外交部長が、韓国には困難に直面した時に互いに助け合って守る友人という意味の「守望相助」という四字熟語を使った。韓国と日本に対する中国の“戦略的観点”をかなり明確に表すものとして、注目を集めている。

 王毅部長は26日午前、ソウル都染洞(トリョムドン)の外交部庁舎で、カン・ギョンファ外交部長官と1年ぶりの韓中外相会談を行った。本格的な会談に先立ち、王毅部長は「コロナ禍以来、中国と韓国の国民は『守望相助』の精神に従って互いに助け合ってきた。韓国各界が新型コロナウイルスによって中国が困難な状況の際、中国国民に送ってくれた支持と支援にこの場を借りて感謝申し上げる。韓中両国は戦略的協力パートナーとして国際及び地域の協力を調整し、地域の平和と安定を守ると共に、統合的なグローバル体制を補完するためにそれぞれの貢献をしている」と述べた。

 王毅部長の短い発言で目を引くのは、同じ敵や困難に立ち向かい、互いに見張りをしながら助け合うという「守望相助」を使い、韓中が互いに助け合う「戦略的協力パートナー」という点をもう一度強調した点だ。これに先立ち、中国の習近平国家主席は2月20日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領との電話会談でも「辛いとき、互いに協調して対応し(守望相助)、両国が近い隣人として一丸となって協力して共に苦境を乗り越えて(同舟共済)いる」と述べた。

 これに対し、王毅部長は24日、日本の茂木敏充外相との会談では、「中日は隣国として一衣帯水の関係にあり、長期的に協力しなければならないパートナーでもある。必要な度に戦略的コミュニケーションを取っていかなければならない」と述べるにとどまった。韓国は共同の敵や困難に立ち向かい、互いに協力しなければならない「戦略的パートナー」だが、日本は必要に応じてコミュニケーションを取らなければならない隣国というレベルで、韓日の“戦略的位置”を区別したのだ。中国が念頭に置いた対応の相手は、一次的に全世界を襲っている新型コロナ危機かもしれないが、場合によっては中国に対して包囲戦略を駆使する米国になり得る。逆に米国ではインド太平洋地域の第1同盟である日本に対しては「礎石」(cornerstone)、第2同盟である韓国に対しては「核心軸」(linchpin)という用語を使う。

 王毅部長は会談直後、現在、両国間の関心事である中国の習近平国家主席の韓国訪問の可能性などについても語った。王毅部長は「年内に習主席が来る可能性はどれくらいか」という記者団の質問に対し、「現在、外交協議が行われている。現在重要なことは訪問条件を整えていくこと」だと答えた。さらにマスクをつけて取材を行っている記者団を見回しながら、「今、みんなマスクをしているのではないか。こうしたことが影響を及ぼす」とし、「我々も早期に実現することを望んでいる。相互交流を強化しなければならない。私たちは隣国だ」と述べた。

 王毅部長はまた、韓国と日本を歴訪する今回の日程は米中競争と関係があるかという質問に対し、「この世界には米国だけが存在しているわけではない。特に、新型コロナへの対応をめぐる協力、経済貿易協力、地域安定の守護、朝鮮半島問題の平和的解決を含め、中韓協力を強化しなければならない。そして、私たちは多国間主義を共に堅持しなければならず、自由貿易を守護し、早く中韓自由貿易協定(FTA)の第2段階交渉を進めなければならない。私たちにはやるべきことがたくさんある」という発言で即答を避けた。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/971629.html

【#ハンギョレ】テレグラム「博士ルーム」チョ被告に懲役40年…「デジタル性犯罪」厳罰の第一歩

一審「性搾取物の製作・流布で 被害者に回復不可能な被害」 

犯罪組織と認定…共犯は最大懲役15年

 未成年をはじめとする数十人の性搾取映像を制作・流布し、犯罪集団を組織した疑いで起訴されていたチョ・ジュビン被告(25)に懲役40年が言い渡された。

 ソウル中央地裁刑事30部(イ・ヒョヌ裁判長)は26日、児童・青少年の性保護に関する法律違反などの疑いで拘束起訴されたチョ被告に懲役40年を言い渡すとともに、10年間の身元情報告知と位置追跡電子装置(電子足輪)装着30年、児童・青少年関連機関および障害者福祉施設への就業制限10年などを命じた。検察は先に、チョ被告に無期懲役を求刑し、45年間の電子足輪の装着を要請していた。

 同地裁は、チョ被告にかけられた被害者の性搾取物制作・流布、被害者に対する脅迫・強要、犯罪集団組織など14の容疑のうち、性犯罪容疑はすべて有罪と判断した。同地裁は「被害者に回復できない被害を与え、(被害者を)類似の犯行や模倣犯行によるさらなる被害にさらした」とし、「犯行の重大性、被害者数、犯行による社会的害悪などを考慮すると、厳しく処罰し、社会から隔離する必要がある」と述べた。

 今回の裁判の争点だった、博士ルームが犯罪集団なのかどうかについても、同地裁は「刑法第114条に定められた犯罪集団に当たる」とした。刑法上の犯罪集団とは、多数が同じ目的を持って役割を分担し、犯罪を繰り返し実行する集団のことだ。同地裁は「博士ルームは、チョ被告と共犯者たちが性搾取物を制作し、これを配布する犯行目的のために組織されたもの」とし、「構成員が性搾取物の制作、博士ルームの管理、広報、流布などの行為を遂行した。(テレグラムの)グループルームは生成・閉鎖を繰り返しているものの、チョ容疑者が作った性搾取物を流布し、参加者がチョ容疑者に追従して指示に従うことに変わりはなかった」と判断した。

 一方、チョ被告と共謀して性搾取物の制作や流布に関与した疑いで共に起訴されていた「太平洋」ことL被告(16)には、少年犯の最高刑の長期10年に短期5年の懲役刑が言い渡された。チョ被告に被害者の個人情報を渡すとともに、元担任教師の子どもを殺害するよう金を渡していた元社会服務要員のK被告(24)には懲役13年が言い渡された。児童・青少年性搾取物を制作し所持していた元公務員のC被告(29)には懲役15年、博士ルームの有料会員でチョ被告の指示を履行してもいたI被告(33)とJ被告(40)にはそれぞれ懲役8年と7年が言い渡された。

シン・ミンジョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971742.html

【#ハンギョレ】「午前4時に退社…夢の中でも仕事」倒れる寸前の疫学調査官たち

ユ・ミョンスン教授の研究チーム 疫学調査官20人にフォーカスグループインタビュー 

新型コロナ疫学調査官の疲労が深刻 

80%が情緒的消耗感、25%が鬱憤水準「深刻」

#1.

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の最前線で8カ月にわたり勤務している疫学調査官のAさんは最近、高速道路を走っていたところ交通事故に遭った。3週連続で休みなしに働いた末に迎えた久しぶりの週末だった。Aさんは運転中も、自分が疫学調査を行った人たちのことが頭から離れなかったという。「私はあの感染者を接触者として分類したが、果たしてあの人が感染者である確率は何パーセントなのか」「私が帰した人が感染しない確率は何パーセントなのか」。このような考えが頭の中をぐるぐると回り続けた。「感染者の疫学調査を1日に5人ずつ行ったはずだから、あらゆる動線について気にかかる人もいれば、帰したのが間違いだったのではないかと思える人もいる。私のせいで、あの人は生計を断たれたのではないか、あらゆる考えが頭をめぐって、事故が起きたんです」

#2.

 7カ月にわたり勤めている疫学調査官のBさんは、近ごろ自分がかなりシニカルになったと感じる。業務外の状況について、よく自嘲的になる。人と話す時、「疲れて見える」ともよく言われる。多くの人に疫学調査で接したことで、Bさんは人間不信がめっきり強くなったと言う。「感染者であれ濃厚接触者であれ、一般的な動線にいる人であれ、いくら話を聞いても客観的な証拠がなければ信じません。指針上そうなっているのではなく、ただ考え方がそういうふうに変わったんです。最近は少しピリピリしていると3回ほど言われたと思います」

 コロナ拡散の長期化により、「感染症消防士」と呼ばれる疫学調査官の蓄積された疲労が極限に達し、10人に8人は情緒的消耗状態に陥っており、4人に1人は鬱憤の程度が「深刻」状態にあるという調査結果が出た。疫学調査官は感染症にかかった人を探し出し、動線を把握し、その原因を分析し、予防する役割を果たす。

 ソウル大学保健大学院のユ・ミョンスン教授のチームが京畿道所属の疫学調査官20人に対しフォーカスグループインタビューを行った結果、コロナ禍で防疫の最前線に飛び込んだ疫学調査官たちが、深刻な過剰労働と、それによる感情の枯渇、冷笑、鬱憤状態に陥っていることが分かった。26日に同チームが発表した。今回の調査結果は、先月24日から今月7日までに計5回にわたって行われたインタビューをもとに導き出された。参加した疫学調査官の平均勤務期間は6.8カ月、最長勤務期間は9カ月だった。

 調査の結果、疫学調査官たちは、感染者の増加期に1日の勤務が12時間以上にのぼったり、直近の1週間は帰宅時間が早朝4~5時だったり、午前7時に再び業務配置の連絡を受けたりといった、相当な超過勤務に苦しんでいた。コロナ対応勤務歴が10カ月になる疫学調査官Cさんは、インタビューで「今週を基準とすると、その日の内に眠ったことがない。いつも翌日の明け方まで働いてから眠りについた。今週いちばんの短時間勤務は昨夜で、12時に終わった」と語った。別の疫学調査官Dさんは「3カ月前から寝るたびに疫学調査をする夢を見る。しまいには、数日間休んだ時は最後の休みの日には何の夢も見ていないのに、翌日出勤して疫学調査をしたらその夜にまた疫学調査をする夢を見たこともある」と話した。

 このような状況から疫学調査官たちはバーンアウトの初期症状を示していた。20人のインタビュー参加者のうち80%(16人)は感情枯渇の基準点である3.2点以上となる「情緒的消耗感」状態を示した。20人の感情枯渇の平均値は4.31点にもなった。また55%(11人)は冷笑の基準値である2.2点を上回っており、平均値は2.61点だった。また80%(16人)は個人的達成感の低下(4.0点以下)を示してもいた。

 特にインタビュー参加者に対し「外傷後鬱憤障害(PTED)」の有無を調査したところ、彼らの鬱憤平均値は2.04点で「持続的鬱憤状態」であることが分かった。具体的には、鬱憤状態が「深刻な水準」(2.5点以上)だった回答者が25%(5人)、「持続的鬱憤」(1.6~2.5点)状態は45%(9人)だった。研究チームが以前に一般人を調査した際には、「深刻な水準」が10.7%、「持続的鬱憤」が32.8%だったのと比べると、疫学調査官の鬱憤状態はかなり深刻だった。

 ユ・ミョンスン教授は「高強度超過勤務に比べ、疫学調査官に対する貧弱な社会的認識と経済的補償の問題は、彼らのバーンアウトと鬱憤が看過できない水準となった理由」だとし、「感染者が急増傾向を見せている今、現場の防疫人員の身体的疲労と精神的打撃を最小化する補完策なくして、積極的な疫学調査を通じた状況の好転を求めたり期待したりしてはならない」と述べた。

ソ・ヘミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/society/health/971633.html?_fr=mt2

【#ハンギョレ】半分の方が効果が大きい? アストラゼネカのワクチン臨床試験の謎

第1グループ90%、第2グループ62% 

差の出る理由の説明はまだなし 

オックスフォード大学「医学ジャーナルでの発表を待ってほしい」

 多国籍製薬企業アストラゼネカが英国のオックスフォード大学と共同開発中の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンについて、同ワクチンが臨床試験で最大90%の免疫効果を示したと発表された内容には疑問点があるという指摘が出ている。英国『フィナンシャル・タイムズ』が26日(現地時間)報道した。

 アストラゼネカは、英国とブラジルで2万人以上を対象とした臨床試験を行い、通常の1回分の半量のワクチンを接種してから1カ月後に再び1回分のワクチンを接種したグループが、90%の効果を示したと23日に発表した。もう一つのグループは1本のワクチンを打って1カ月後に同量を再び接種し、効果は62%だった。同社は、両グループの平均は70%程度だと発表した。アストラゼネカのワクチンは2回の接種を要する。

 26日付のフィナンシャル・タイムズは、「90%の効果があったというアストラゼネカの臨床試験の参加者たちの年齢は55歳以下だった」とする米ホワイトハウスのワクチン開発プロジェクト(「ワープ・スピード作戦」)の責任者モンセフ・スラウイ氏の主張を報じた。コロナの症状悪化リスクは高齢者ほど高まる傾向がある。アストラゼネカは臨床試験の結果発表の際、参加者の年齢は公開していない。スラウイ氏は「要因はいろいろあり得る」と述べ、結論は留保したと同紙は伝えた。第1のグループで高い効果が現れたのは「偶然」である可能性もあると付け加えた。

 アストラゼネカのワクチンの臨床試験に疑問を呈する人たちが出ているのは、第1のグループと第2のグループで効果が違う理由をアストラゼネカが説明できていないためだ。アストラゼネカは、他のワクチン開発会社と異なり投与方法を二つのグループに分けて試験を行ったのは、誤りのためだったと明らかにした。開発者の言葉を引用してロイター通信が報じた。英国で行われた第1グループで、誤って半回分を接種したことが後に分かったものの、試験を続行したと明かした。結果的に、最初に誤って半回分を接種させたグループの方が、免疫効果が高く現れのだ。

 アストラゼネカの発表によると、90%の免疫効果を示した第1グループの臨床試験の参加者数は2741人だったが、62%の免疫効果を示した第2グループの臨床試験の参加者数は8895人で、3倍以上の開きがある。フィナンシャル・タイムズによると、90%の免疫効果が出た第1グループの臨床試験の参加者が少数のため、米国では承認を受けられないかもしれないという声も出ているという。アストラゼネカの株価はロンドン株式市場で、臨床試験の結果が発表された23日に3.81%下落した。25日にはさらに2.5%下落した。

 しかし、アストラゼネカとともにコロナワクチンの開発を行っている英オックスフォード大学のサラ・ギルバート博士は、少ない量で免疫効果がより高く現れる可能性もあると主張してきた。ただし、このような形でワクチンが開発された例はないと同紙は付け加えた。

 このような物議にもかかわらず、アストラゼネカのワクチンは、ファイザーやモデルナのワクチンと比較すると強力な長所がある。アストラゼネカのワクチンは、1回分の価格が3~4ドル程だという。1回分が19.5ドルのファイザーのワクチンより安い。またアストラゼネカは、同社のワクチンが冷蔵庫程度の摂氏2~8度で6カ月間保管できると発表している。マイナス70度やマイナス20度で6カ月間保管できるというファイザーやモデルナのものに比べ、保管と普及がしやすい。

 オックスフォード大学は、臨床試験の結果に関する具体的な内容のさらなる公開を待ってほしいと述べる。「これは複雑な科学の領域の問題だ。(医学ジャーナルの)『ランセット』に臨床第Ⅲ相の結果が発表されるのを待ち、この問題についてさらに議論することを望む」と語った。

チョ・ギウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/971624.html

【#ハンギョレ】テレグラム「博士ルーム」チョ・ジュビン被告、共犯の裁判で証人出廷「反省すべき」

24日、共犯者のカン被告の裁判に証人として出廷

 26日に一審判決を控えたテレグラム「博士ルーム」運営者(性搾取物流布および強制わいせつ、強姦容疑等で起訴)のチョ・ジュビン被告が、24日に共犯のカン・フン氏(ハンドルネーム「ブタ」)の裁判に証人として出廷した。カン被告はチョ被告の中心的な共犯とされた人物だ。カン被告がチョ被告の指示を受けて性搾取物を作成・拡散させ、仮想通貨で受け取った犯罪収益金の両替業務を代行する見返りとして、チョ被告から手数料名目の金を受け取っていたというのが検察の捜査結果だ。チョ被告はカン被告にテレグラムのグループチャットルームの管理を任せた。カン被告が昨年11月、強制わいせつ罪などの他の犯行で逮捕され、L氏(ハンドルネーム「太平洋」)に代わりにグループルームの管理を任せるまで、チョ被告はカン被告を側近として遇していた。

 そのようなカン被告に対し、チョ被告は過ちを認めて反省するよう厳しく忠告した。チョ被告は「ブタ(カン被告)に押し付ける責任もないし、負う責任もない」とし「互いに好きで(犯行を)したこと」と主張した。カン被告の弁護人は、カン被告が性搾取物を見るためにチョ被告に自分の身体の重要部分を撮影し写真を送ったところ脅迫され、犯罪に加担することになったと主張したが、チョ被告は「(虚偽の)シナリオだ」と一蹴した。カン被告から先に「知人陵辱(知人の写真を裸の写真と合成し、わいせつ物にして流布するデジタル性犯罪)を手伝ってほしい」と連絡し、(カン被告が)学生だったため金が足りず自発的にテレグラムグループの運営を手伝ったと反論した。チョ被告は「正直に話して反省するのが正しい」とし「自分も犯罪者として考えてみたが、一度嘘をついたらきりがない」と語った。さらに「追及する(カン被告側の)弁護士も知っているだろうし、無意味に思えるから正直に話したほうがいい」と諭すような発言もした。

 カン被告側の弁護人が、有料会員が送った仮想通貨を両替してチョ被告に渡したことは事実だが、性搾取物を売って得た犯罪収益金だとは知らなかったと集中的に追及したが、チョ被告は「映像(性搾取物)が流布すること自体も悪いことだというのを知っているのではないか」と言い、「無意味なことだから認めるべき時だと思う」と非難した。公職選挙法違反の疑いで裁判を受けていたユン・ジャンヒョン前光州(クァンジュ)市長に「裁判で有利な結果が得られるようにする」と言ってだまし、約1000万ウォン(約93万円)をだまし取った疑い(詐欺)に関して、被害額が食い違うとチョ被告は「カン君が供述を覆したので、供述の信憑性は自分の方が高い」とし「もう否認する必要はないと思う」とむしろ大口をたたいた。チョ被告の態度は、開き直りだという気がするほど堂々としていた。

 19日のチョ被告の結審公判で検察が無期懲役を求刑したところ、「被害者の方々に申し訳ないとしか言う言葉がない」と述べたチョ被告は、共犯の裁判でも「反省モード」を維持した。しかし、共犯に責任を押し付けようとするような態度は真実性が感じられなかった。彼の反省は果たして本心だろうか。

チョ・ユニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971539.html

【#ハンギョレ】[ニュース分析]中国、なぜいま王毅部長を韓国・日本に向かわせたのか

政治BAR_キル・ユンヒョンのそこが知りたい 

王毅外交部長「日中は『一衣帯水』の関係」 

韓国に来てどんな表現を使うのか、詳しく見るべき

 中国の王毅・国務委員兼外交部長が、24日から日本と韓国を歴訪しています。日程初日の24日、茂木敏充外相と会談後に晩餐を交わした王毅外相は、25日に菅義偉首相を表敬訪問した後、韓国に移動します。韓国では26日、カン・ギョンファ外交部長官との会談および昼食会、その後文在寅(ムン・ジェイン)大統領の表敬訪問が予定されています。王毅部長の今回の歴訪については、来年1月20日にバイデン政権が発足する前に、米国の主要同盟国である韓日両国を訪問してこれらの米国への偏りを防ぎ、安定した協力関係を維持しようという意図があるとの分析が続いています。

 安定した韓中、日中関係は、中国の国益において高度に重要な問題です。では、中国の立場としてはどちらにより関心が高いのでしょうか。これに答えるのは容易ではありませんが、重要度でいえば「日本」、敏感度でいえば「韓国」ではないかと思います。王毅部長の動線を見ても、最初の訪問先が日本、次の訪問先が韓国です。中国と日本は国内総生産(GDP)規模で世界2位と3位に当たります。より重要であるのは明らかです。しかし、海を隔てた日本と違い、韓国は中国と陸続きで近くにあります。平沢(ピョンテク)米軍基地は北京の「あごの下」です。より敏感になるのは避けられません。韓国は2016~2017年のTHAAD(高高度防衛ミサイル)の局面で、中国が韓国にどのような報復を加えたのかを経験しています。

 今日はインド太平洋地域の二国間関係のうち、最も複雑で微妙な関係の一つである日中関係について詳しく見てみます。外交は基本的に言葉で行うものです。そのため外交官の使う「用語」を注意深く見なければなりません。日本の外務省が24日にまとめて発表した「会談記録」からは、王毅部長と茂木外相の対話内容のうち大きく3つを挙げることができます。

 まず、中国と日本はいずれも安定した両国関係が互いの国益にかなうという点で意見が一致しています。考えてみればこれは当然のことです。韓国では日本がトランプ政権の主導してきた「中国包囲戦略」に無条件で参加していると考えられていますが、実情は違います。日本も「米中対立が激化している中、全面的に“米国追従”となっては日本の国益を守ることはできないと判断」(読売新聞、10月16日付)しています。そこで「経済と安全保障問題が結びついた課題では、同盟である米国との協力が不可欠」と考えますが、「3万社を超える日本企業が事業を展開しており、多くの観光客が訪れる中国との経済関係を完全に遮断した場合、日本経済に対する打撃は計算できない」という事実を認識し、国益によって案件ごとに選別する対応をしています。菅義偉首相も9月12日の自民党総裁選挙で、「アジア版NATOを作れば地域に敵、味方を作ってしまう恐れがある。米中が対立しているなか、アジア版NATOを作れば反中包囲網にならざるを得ない。日本外交の目指す戦略的な外交の観点から正しくない」と発言しました。

 日本は現在、米国、日本、オーストラリア、インドの4カ国が参加する安保協議体「クアッド(QUAD)」に参加していますが、これがNATO(北大西洋条約機構)が旧ソ連に対したように中国を露骨に包囲する「反中色」を帯びることには反対だという立場です。

 次に、茂木外相は「二国間、地域・国際社会における互いの関心事項について、忌憚のない意見交換を行いたい」と述べました。ここで「二国間の関心事項」は、今年に入ってさらに深刻化した尖閣諸島(中国名・釣魚島)近海に中国の艦船が侵犯する問題、「国際社会における関心事項」は香港問題や新疆ウイグル人権問題などを意味するものと解釈されます。実際、茂木外相は香港問題について、「一国二制度」の約束を守るよう述べ、新疆ウイグル人権問題については、「地域・国際社会に共に貢献していく上で、自由、人権の尊重や法の支配といった普遍的価値を重視している」と発言しました。しかしこうした問題は1、2回の会談では簡単に解決しにくい領土と主権に関する問題であるため、「忌憚のない意見交換」という言葉で互いに言いたいことをすべて打ち明けようと提案したのです。

 三つ目に、王毅部長は「新たな情勢の下」という表現を使って「日中関係の構築を確実に推進する」と述べました。ここで王毅部長が言及した「新たな情勢の下」という言葉は、米国のバイデン政権の登場を意味するようです。多くの専門家は、バイデン政権が前任のトランプ政権と違い、同盟を重視する国際協力体制の中で強力な「戦略的競争国」に浮上した中国の息の根を止める「対中圧迫」に乗り出すと予測しています。これを予想した王毅部長は、バイデン政権が発足しても日中両国は協力を続けなければならず、ひいては「世界の平和・安定の発展を促進するために貢献すべき」と主張したのです。これは、米国に集中しすぎるあまり中国と不必要な摩擦を起こさないでほしいという意味です。

 この発表文には出ていませんが、25日付の日本経済新聞の報道によると、この日王毅外相は茂木外相に「世界が激動と変革の時代に入っている。中国と日本は一衣帯水のような長期的協力のパートナーだ」と述べたといいます。一衣帯水とは、中国と日本は小川をはさんだ非常に近い隣人という意味。中国は韓中関係を描写する時も時々この表現を使います。これについて日本経済新聞は、「新型コロナウイルスの警戒で、王氏は中国に帰国後は一定期間、待機を強いられる。わざわざ来日して『一衣帯水のパートナー』と持ち上げたのは、米中対立下で日本が重要性を増すからだ。」と分析しました。つまり、バイデン政権の対中政策がまだその姿を現す前に日本を訪れ、米国に偏る対中政策を打ち出さないよう「切に」頼んだのです。

 それでは、王毅部長の希望通り、日中はバイデン政府の下で友好関係を維持できるでしょうか。それには様々な障害物があります。

 最大の変化要因は、バイデン政権の対アジア政策です。具体的には、トランプ政権の時期の混乱を終えて態勢を整えた米国が、来年春以降、日本そして韓国に何を要求するのかです。これについては、米国内でも様々な意見が行き交っています。米国が「民主主義の価値を共有する同盟」をうまく糾合し、中国の締めつけに乗り出すべきだという「強硬派」がいる一方、同盟国に米中二択を強要してはならないという「穏健派」もいます。米国内の議論の状況をもう少し見守るしかありません。

 二つ目の変化要因は、二国間の熾烈な領土紛争が進行中である尖閣諸島です。韓国ではあまり知られていませんが、今も中国と日本は尖閣諸島をめぐって激しく対立しています。今年に入ってこの24日まで、中国の艦船が尖閣諸島周辺の接続水域(24海里以内)を侵犯したのは305日に達します。ほぼ毎日侵犯しているということです。日本の艦船が独島の接続水域を毎日のように侵犯すると考えてみましょう。韓国の対日世論はどうなるでしょうか。

 バイデン次期大統領も、こうした日中関係の最も「弱い部分」を冷静にとらえているようです。まだ中国が弱かった1972年9月、周恩来首相は中国を訪問した日本の田中角栄首相と会いました。この時に繕った日中間の「領土問題」は、中国が隆盛しはじめた2010年代に入って再発しました。尖閣諸島をめぐる日中対立は結局、2012年12月に日本右派の象徴である安倍晋三首相が第2次内閣を発足するまで続きます。そして安倍政権はオバマ政権の「リバランス」戦略に便乗し、日米同盟を従来の「地域同盟」から活動範囲と地位を大幅に高めた「グローバル同盟」へと拡大発展させました。

 そのためでしょうか。バイデン次期大統領は11日、菅首相と電話会談を行った後、この内容をまとめた文書で「次期大統領は日本防衛に関する彼の深い誓約と(日米安保条約)第5条に関する米国の約束を強調した」と書きました。日米安保条約第5条には、日本に対する武力攻撃が発生した場合、各自の憲法規定に従って共同で対処するという内容が書かれています。この一節は、尖閣諸島で米中間に最悪の事態が発生した場合、米国は日本と共に戦うという意志を再び強調するという意味です。つまり、日本に「あなたたちの唯一の同盟国は米国」という点を改めて認識させたのです。

 王毅部長は日中関係を「一衣帯水」の関係と呼びました。26日に韓国に来訪してから、韓中関係についてはどのような表現を使うでしょうか。カン・ギョンファ長官、文在寅大統領との会談の際、どんな用語を使ってどんな話をするのか、詳しく見ていかなければなりません。熾烈な米中対立の中で、韓国が活路を見出すにはどうすればよいのでしょうか。外交とは実に難しく、複雑なものです。

キル・ユンヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/971459.html

【#ハンギョレ】京畿道平和副知事が臨津閣のテント執務室に出勤する理由とは

イ・ジェガン京畿道平和副知事 南北首脳に「開城工団の再開宣言」求める 

国連軍司令部から都羅展望台の執務室の承認拒否を受け 

統一大橋前で「国連軍司令部糾弾」1人デモ

 京畿道のイ・ジェガン平和副知事が南北首脳による開城(ケソン)工業団地の再開宣言を求め、16日連続で坡州市臨津閣(イムジンガク)観光地内の「風の丘」に建てた臨時執務室に出勤している。

 イ副知事は当初、開城工団が見える都羅(トラ)展望台に執務室を設置する予定だったが、非武装地帯(DMZ)を管轄する国連軍司令部から承認を受けられず、今月10日には臨津閣に臨時執務室を設置すると共に、近くの統一大橋の前で毎日午前11時から1時間、国連軍司令部を糾弾する1人デモも行っている。

 23日午後、臨津閣DMZ生態観光支援センターの隣の丘の上にあるテント型執務室で会ったイ副知事は「南北首脳が朝鮮半島平和のためにまずすべきことは、開城工団の再開宣言」だとし、「(その後に)制裁を超えて国際的協力を引き出す案を南北が共に模索しなければならない」と述べた。イ副知事は、政府が南北首脳会談以降、北朝鮮との平和協力の機会を逃したという一部の指摘に対し、「イ・イニョン統一部長官がこれからは『朝米の時間』ではなく『南北の時間』を作るべきだと述べたように、今こそ南北の指導者が会って自主的に南北関係改善の道を開かなければならないゴールデンタイム」だと強調した。

 京畿道が開城工団の再開を求める理由について、イ副知事は「工業団地閉鎖措置が下されてから4年10カ月が経っており、これ以上参加企業の苦痛に背を向けるわけにはいかない状況」だとし、「当時の約120社の企業のうち40社以上が京畿道地域の企業であり、開城工団の稼働中止で最も被害が大きかった地方政府がまさに京畿道だった」と述べた。さらに「京畿道は北朝鮮との接境地域に位置し、南北関係が揺れるたびに住民たちの日常と安全が脅かされている」とし、「京畿道の平和政策を担っている副知事として、(テント執務室への出勤が)政治パフォーマンスと見られるのを恐れて何もしないのは、むしろ道民に対する職務遺棄だと思う」と述べた。

 開城工団は2004年に稼働を始めて2016年に閉鎖されるまで、累積生産額が約3兆8千億ウォン(32億ドル)に達する朝鮮半島経済共同体の実験場であり、南北の労働者5万5千人以上が共に働きながら“小さな統一”を実現した場所として評価された。

 彼は現職副知事の身分で1人デモをした理由について、「そもそもデモを行う計画はなく、特定機関や特定国家を対象にデモをしているわけではない」とし、「大韓民国国民が大韓民国の領土に出入りするのに国連軍司令部の承認を受けなければならないのは不公正の事例であり、こうした不公正を打破しようという国民の熱意を結集しようとする行為だ」と述べた。彼は「南北関係が冷え込んだ時、呼び水の役割をするのが京畿道平和副知事の役割」だとし「開城工団の再開宣言が行われる日まで、臨津閣と都羅展望台で平和副知事の業務を続ける」と述べた。

臨津閣/パク・ギョンマン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/area/capital/971530.html

【#ハンギョレ】韓国政界はブラックホール…検察総長の職務停止で法相支持派と総長支持派が対立

与党のイ・ナギョン代表「ユン総長自らが進退の決定を」 

野党のキム・ジョンイン非常対策委員長「国がおかしくなっている」 

大統領に照準を合わせ攻撃

 ブラックホールだ。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)についての衝突も、災害支援金をめぐる対立も、史上初の検察総長の職務停止の事態の前では力が及ばなかった。「チュ・ミエ法務部長官支持派」と「ユン・ソクヨル検察総長支持派」で立場が分かれた与野党は、2日にわたり激しい対峙を続けた。与党は前日、チュ・ミエ長官がユン・ソクヨル総長の職務停止の事由として言及した「チョ・グク前法務部長官を担当する裁判所への不法査察」を既成事実化し、「国政調査」と「総長職辞任」を同時に要求した。野党はチュ長官に対する弾劾を検討することで対抗し、沈黙する文在寅(ムン・ジェイン)大統領に戦線を拡大した。

 共に民主党のイ・ナギョン代表は25日、国会で開かれた民主党最高委員会議にテレビ会議形式で参加し、「法務部が明らかにしたユン総長の疑惑で最も衝撃的なことは、判事の査察」だとし、「そのような時代錯誤的で危険極まりないことが検察内部に今なお残存しているのか、その真相を糾明し、根を断ち切らなければならない。国会の国政調査推進の方法を党で検討してほしい」と注文した。イ代表は続けて「検察の未来のために、自ら進退を決めてほしい」とし、ユン総長の辞任を繰り返し求めた。

 野党「国民の力」は、法務部の措置を猛非難し、文在寅大統領に照準を合わせた。キム・ジョンイン非常対策委員長はこの日、国会で緊急記者会見を開き、「大統領が検察総長を解任する権限を持っているにも関わらず、このような事態を作り出し、国がおかしくなった」と大統領を攻撃した。チュ・ホヨン院内代表も、「暴力団の集団暴行のようだ」とし、「チュ・ミエ長官のこのような暴挙も問題だが、後ろで黙認し、別の見方をすれば楽しんでいる文在寅大統領がはるかに問題だ。大統領が気に入らないのであれば、本人が政治的責任を取って解任せよ」と声を高めた。

 与野党は、この日の午前に開かれた国会の法制司法委員会の全体会議でも、ユン総長の出席問題をめぐり攻防を繰り広げた。野党幹事のキム・ドウプ議員は、国民の力単独で要求し召集された法制司法委員会の全体会議で、「重大なことに対して懸案質疑をなぜ避けるのか。法制司法委員会を開議するといってユン総長がたったいま最高検察庁を出発したという伝言がある」と主張した。すると民主党所属のユン・ホジュン法制司法委員長は、「委員会で出席を要求したこともなく、議事の日程が確定したこともない。誰と話して検察総長が自分の望み通りに会議に入ってくるというのか」と対抗し、わずか14分で散会を宣言した。これに反発した国民の力所属の法制司法委員はこの日の午後、最高検察庁を訪れ、総長の職務を代行しているチョ・ナムグァン次長検事と面談した。国民の力は、26日午前10時に再び緊急懸案質疑を開くための法制司法委員会の全体会議の召集を要求するという計画だが、民主党は、ユン総長が現在は職務から排除された状態で、国会に出席することについては不適切だという立場であるため、与野党がユン総長の出席問題で合意する可能性は高くないと思われる。

 国民の力は、チュ長官に対する弾劾訴追や解任建議など、与党に対抗する方法も検討している。この日、党内の法曹出身者として緊急会議に参加したユ・サンボム議員は、文化放送(MBC)のラジオで、「党でチュ・ミエ長官に対する解任や弾劾など、さまざまな案について緊急で論議している」と明らかにした。民主党は、ユン総長に対する法務部の懲戒手続きを一旦見守って、結果が出たら国政調査や独立検察官の導入などを通じて責任を問うという基本的な立場を維持している。

チャン・ナレ、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

http://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/971503.html

【#ハンギョレ】韓国の検事ら、法相による検察総長の職務停止命令に反発する声明を発表

最高検察庁検察研究官約30人が声明 「検察業務の独立性と法治主義を傷つけた」 

釜山東部支庁、約20人も「不当」  

内部掲示板でも批判相次ぐ 「怖くてものも言えなくなる」 「検察改革ではなく検察掌握」と反発 

一般検事会議が開かれる可能性も

憲政史上初の現職検察総長の職務執行停止命令に、検事たちが集団行動に出た。一般の検事たちの反発が激しくなるにつれ、集団行動の形である「一般検事会議」が開かれる可能性も取りざたされている。

 検察総長の参謀組職である最高検察庁検察研究官約30人(司法研修院34期以下)は25日に会議を開き、検察内部の掲示板にユン・ソクヨル総長の職務停止の見直しを求める声明を発表した。彼らは「納得しがたい手続きと過程を経て電撃的に(ユン総長が)職を遂行できなくなった。検察業務の独立性を侵害するだけでなく、法治主義を深刻に傷つける行為で、違法であり不当だ」としたうえで、「検察が憲法と良心によって与えられた職務と責任を全うできるよう、法務部長官が今からでも職務執行停止処分を再考してくださるよう切に要請する」と書いた。釜山(プサン)地検東部支庁の一般検事約20人も「事実関係が十分に確認されていない現時点で検察総長に対して懲戒を請求するのは、違法であり不当な措置」だとし、「真相を確認する前に検察総長の職務を排除したのは納得しがたい」という意見を示した。

 検察内部の掲示板には、幹部級の検事らの公開批判も相次いだ。ユン総長とともに国政壟断の捜査に参加した釜山地検東部支庁のキム・チャンジン刑事1部長は「政権の利益にならない事件を捜査すれば、総長も懲戒を受け、職務から排除される可能性があるというシグナル」とし、「事実上、検事たちに対する警告」だと指摘した。キム部長検事は「検事も過ちを犯した場合は懲戒を受けなければならず、総長も例外ではないが、(総長が)何の対応もせず職務から排除されれば、怖くてものも言えなくなるのではないか」と反問した。清州(チョンジュ)地検のチョン・ヒド部長検事も「長官一人でこうした驚くべきことができるだろうか。政権に寄生する政治検事と協力者がいたからこそ可能なことだ」と一喝した。

 検事らはチュ長官が掲げたユン総長の職務排除の事由に「根拠がない」と主張した。済州地検のキム・スヒョン人権監督官は「総長を職務から排除するにはそれにふさわしい根拠、正当性と名分がなければならないが、職務排除の事由のどこにもそのような内容はない。憂鬱で惨憺たる気持ちだ」と書き込んだ。匿名希望のある部長検事は「汚職で起訴されたチョン・ジヌン光州(クァンジュ)地検次長検事は引き続き一線で事件を決裁するのに、総長は明確でない事由で退かなければならないのが理解できない」とし、「検察改革ではなく検察掌握だ」と反発した。

 総長の不在による捜査指揮の空白を懸念する声もあがった。最高検察庁で勤務したある検事は「総長がどのような過程を経て職務から排除されたのかを見てきたチョ・ナムグァン次長検事が、敏感な事件をきちんと決裁できるだろうか」とし、「結局、法務部が検察を望む通りに牛耳ることになるだろう」と指摘した。

 同日、ソウル中央地検のいくつかの部署は、部長検事の主宰で会議を開き、対策を協議した。会議に出席したある検事は「一般検事や副部長級以上の幹部たちがこの問題にどう対応するかについて議論したが、まだ明確な解決策は見つかっていない」と述べた。地方検察庁では「一般検事会議」が召集される可能性もあると見られる。ある検事は「光州や大田(テジョン)などで一般検事会議を計画中だと聞いている。集団声明はこれから始まるだろう」と予測した。若手検事たちの集団行動である「一般検事会議」は、ファン・ギョアン法務部長官がチェ・ドンウク検察総長を婚外子疑惑を口実に監察を指示したときの2013年以来招集されていない。

 一方、同日から総長職務代行を務め始めたチョ・ナムグァン次長検事は「検察総長の懲戒請求および職務執行停止という前代未聞の状況で、重職を任され、非常に残念だ」とし、「検察改革の大義のもと、分裂した検察組職を一日も早く収拾し、一つになった国民の検察に生まれ変われるよう、全力で取り込む」と述べた。

ペ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971517.html

【#ハンギョレ】韓国検察による裁判部査察疑惑に判事らの反発高まる

現職の判事、内部掲示板に批判の書き込み 

判事と検事の対立に飛び火の兆しも

25日、韓国の現職の部長判事が、最高検察庁の「裁判部査察」疑惑文書に対する釈明を批判する書き込みを裁判所内部の掲示板に掲載した。同判事は、裁判所事務総局に「(裁判部の傾向調査に活用された)判事に対する身辺調査の内容と経緯を確認してほしい」と要求した。検察が重要事件を担当する裁判部の傾向調査を正当な業務と主張したことに対し、判事たちの批判が高まっている。

 済州地裁のチャン・チャングク部長判事は同日午前、裁判所内部の掲示板に「誰かは問題を提起しなければならないと思い、勇気を出した」と書き込んだ。チュ・ミエ法務部長官が前日、ユン・ソクヨル検察総長の職務停止を命じる際、不正容疑の一つに挙げた「裁判部査察」に関するものだ。最高検察庁が、裁判部の傾向に関する調査を違法な査察ではなく、正当な業務という趣旨で説明したことに対する反論といえる。

 チャン部長判事は「最高検察庁の捜査情報政策官室が、蔚山(ウルサン)市長選挙の介入事件とチョ・グク前法務部長官事件の判事の個人情報と傾向に関する資料が含まれた報告書を提出したことを受け、ユン総長がこれを反腐敗強力部に渡すよう指示したという法務部長官の発表があった」とし、「これに対するユン総長の釈明にはあきれる」と指摘した。さらに「裁判部の身辺調査資料を破り捨てて作成者を問責するのではなく、公訴維持、すなわち有罪判決を引き出すための参考資料として使うよう渡した」とし、「検事が証拠の提示よりも裁判部の傾向を利用して有罪判決を引き出そうとするのは、裁判部の上に立とうということに他ならない」と批判した。チャン部長判事は「裁判所事務総局に求める」とし、「判事に対する身辺調査がいかなる内容で、いかに作成されたのか確認してほしい。そして責任者の問責を要求し、必要ならば告発も行うべきだ。検察が信用できなければ、公捜処でも良い」と強調した。さらに「裁判を自分に有利に導こうとする試みは、いかなる場合でも容認できないことを明確に宣言してほしい」と付け加えた。

 チャン部長判事の書き込みには「検察は問題の深刻さをまだ分かっていない」などの支持コメントが寄せられた。ある判事はコメントで「『最高検察庁』が主体となり、常に重要事件の裁判を担当する裁判部判事の情報、それも裁判スタイルとは何の関係もない情報まで収集して総長に報告してきた」とし、「最高検察庁が今後も情報を収集し、必要ならば検察内部的に情報を共有するものと予想される」とし、懸念を示した。

 首都圏の裁判所のある判事は、ハンギョレの電話インタビューで、「『司法壟断』問題があった頃に裁判所が(物議を醸した裁判官)リストを作成したのと似たような状況が検察で起きた」とし、「査察関連資料がどこから出てきたのか、その意図が何かを明らかにすることが重要だ」と指摘した。「いかなる形であれ、検察が判事に関する情報を収集し、文書化した情報として保管していたということだが、国家機関が判事の情報を収集、保管、報告することが適法かどうかは別として、正当かどうかについて懸念せざるを得ない」と述べた。一部の判事らは捜査と裁判で「客観義務」を果たさなければならない検察が、有罪判決のために裁判部の傾向まで調べるのは、深刻な問題だと批判した。ソウル地方裁判所のある部長判事は「判事たちが今回の事件を深刻に捉えている。裁判所レベルの公式立場を表明すべきだという声もあがっている」と伝えた。

チョ・ユニョン、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/971519.html

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